文化・芸術

第20回 国立劇場東京公演

第7回くらいからだったでしょうか、関わるようになった「全国高等学校総合文化祭優秀校東京公演 国立劇場の夏」、今回で第20回を迎えました。

私より一足早く関わり、一緒の仕事を長くやっている新橋太先生が、素敵なことを言っていました。
〈世の中いろいろたいへんだ、学力低下だ、若者の力が落ちてきている等々言われているけれども、ここに集まってきている高校生たちは、みんな素晴らしい生徒たちばっかりで、その姿に触れていると、これからの日本もけっこう大丈夫なんじゃないか、と思えるんだ〉
おおむね、こんな内容のことでした。
公演に出場する発表者も含まれているのでしょうが、新橋さんが直接その話をされたのは記録編集の係の生徒たちに対してでした。
私もずいぶん長い関わりになってきていますが、新橋さんが言われるように、なんだかだんだん生徒の(技術的なところだけでなく、内面的なところでも)レベルが向上しているようにおもいます。

司会の生徒も、今年は何か違いました。
過去の人たちと比べてしまうと彼らに申し訳ないですが、なんでしょう…、客席全体を上手から下手へ、また下手から上手へ、とゆっくりと視線を動かしながら話す姿、これは例年と同じなのですが、何か違うんです。かつては、機械的に動いている感じが強かったのかな…と、今年の司会者を見ておもいます。今年の彼女は、全体の客席に対してもしっかりと話しかけているのがわかります。動きが機械的ではなく、暖かみが感じられます。

20回記念として行われたオープニング「~東京の太鼓~『百打閃鳴』」がまた素晴らしかったです。
「東京都の郷土芸能部門に加盟する高校生が合同で演奏」とパンフレットにありました。総勢、105名による主に和太鼓の演奏。それがまた楽しそう、嬉しそう。ひとり一人の表情が素敵です。心が躍り出しそうになる瞬間でした。そんな上演に触れていると、日本、けっこう大丈夫なんじゃない、とまた改めて思えてきました。

文化庁長官の生の挨拶もよかったですね。河合隼雄さんの時は結局一度もご本人にはお越しいただけませんでしたが、今年いらした玉井日出夫長官は、第一回の公演発足にあたる経過もご存じの方でした。高校球児が甲子園を目指すように、文化連盟は国立劇場を目指そう、そういう思いで始められた公演なのだそうです。

この公演もとうとう「成人」となりました。

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優秀校東京公演 二日目

全国高等学校総合文化祭優秀校東京公演の二日目です。
いつものように、国立劇場の客席は満席となりました。

今年からチケット配布システムが変わったせいか、
入場できずに会場外で待つような人が減ったように見えましたが
どうだったのでしょうか。


オープニングの「夏酔夢(なつゆめ)」、
クラーク記念国際高等学校のパフォーマンスは圧巻でした。

パンフレットの紹介文によると
全国56のキャンパスで、約12,000名の生徒が学ぶ、とあります。
東京キャンパスには7つのコースがあり、
その中のひとつが今回発表を行った
「パフォーマンスコース」とのこと。
「ダンス・歌・演技・殺陣・武術などの実技授業を毎日行っている」
「20,000人以上の観客動員実績を誇る年2回の舞台公演」
「年間約10本のステージ」などなど、
紹介される内容には驚くことばかりです。
老人ホームや病院への慰問公演や、
障害者との交流公演など取り組みも多彩です。

そして何よりも、その発表が素晴らしかったですね!
100人を超える高校生たちが舞台を駆け回る。
時にはエネルギッシュに
時にはコケティッシュに
全員によるアクロバティックなダンスがあるかと思うと
のびやかな声を響かせるソロの歌声があったり。
あれ?と思わせるような隊形変化、
イメージに合わせた照明・音響効果、
はち切れんばかりの若いエネルギーが
舞台にあふれていました。いいなぁ。


特別公演は都立桜町高校です。
当日のリハーサルの後に、
作品に込めた思いを出演者から聞くことができました。
本番の公演も演技派なところをよく見せてくれました。
あいにく…音響の音にセリフが負けていたところが
いくつかありましたね。
物語のポイントとなるところだっただけに、もったいなかったなぁ。
下北沢を表すシーンで
「ロミオとジュリエット」をやっているのには笑いました。
横長の会場である国立劇場は、
発声の基本の大切さが感じさせられる劇場ですね。


郷土芸能で出場した、
八重山商工の部長さんにお話しをうかがいました。
取材の最後におまけとして東京の印象を聞いてみました。
部長の宮良くんは東京に来たのは初めてとのこと。
まずは人が多いのにびっくり。
石垣でのお祭りのとき並みに
人がたくさんいることが驚きだったようです。
見上げるような建物がたくさんあることも
目の当たりにしてみて唖然としたようなようすでした。
「目が回りそう」だ、と言ってくれたのがとても印象的でした。

八重山の高校生たちは、
進学者は島外に出て行かざるを得ませんが、
その多くがまた島に戻ってくるのだそうです。
やはり、豊かな自然や、
地域で暮らす人々との温かい結びつきが
みんなを故郷へといざなうのでしょう。

毎日がお祭りにような人出で、
目が回るような中で暮らす東京人には
忘れてしまったもの、なくしてしまったものが
たくさんあるのかもしれません。

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第18回 優秀校東京公演

この週末のイベント、情報提供です。


第18回全国高等学校総合文化祭優秀校東京公演
「きずな 国立劇場の夏」が開催されます。

プログラムを一部抜粋してお知らせします。
時間はすべて予定上演時間です。

(第1日目)
平成19年8月25日(土)

優秀校公演
1.日本音楽「カプリッチオ」 東京都 創価高等学校
 (14:00~14:10)
2.日本音楽「箏三重奏曲二番」 埼玉県 星野高等学校
 (14:10~14:20)
3.郷土芸能
 「越中五箇山民謡『神楽舞・こきりこ・五箇山追分・麦屋節』」
 富山県立南砺総合高等学校平高等学校
 (14:40~14:55)
4.郷土芸能「叡智天翔・飛翔」 北海道釧路江南高等学校
 (14:55~15:10)
5.演劇「塩原町長選挙」 栃木県立栃木高等学校
 (15:30~16:30)
6.演劇「紙屋悦子の青春」 静岡県立富士高等学校
 (16:50~17:50)


(第2日目)
平成19年8月26日(日)

優秀校公演
1.日本音楽「Floralia」 岩手県立盛岡第二高等学校
 (15:10~15:20)
2.日本音楽「三面の箏・十七絃・尺八による《容》」
 東京都狛江高等学校
 (15:20~15:30)
3.郷土芸能
 「果報(かふ)ぬ世(ゆ)ば給(たぼ)ぅられ
  ~八重山の種子取祭(たにぃどぅりさい)の芸能より~」
 沖縄県立八重山商工高等学校
 (15:30~15:45)
4.郷土芸能「宜候(ようそろ)」
 福井県立勝山高等学校+福井県立福井農林高等学校
 (福井県合同)
 (15:45~16:00)
5.演劇「あげと~ふ」 大阪府 追手門学院大手前高等学校
 (16:20~17:20)
6.演劇「躾 ~モウと暮らした50日」
 岐阜県立岐阜農林高等学校
 (15:40~18:40)


忙しくて記事が落ちそうなときは情報提供、この手がありましたね。
もうしばらく毎日更新が続けられるかなぁ

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落語会/紅都こ

 早々と来年3月の卒業公演の会場を押さえた3年次生(劇団てんとう虫)でしたが、当初予約した公共ホールの会場費が高くて困っていました。予約をしたはいいけれど、数日の間に会場費を支払わなければならない。同じホールで卒業公演をした先輩に尋ねてみると、スタッフさんたちはけっこうビジネスライクで、卒業公演とはいえ高校生だけの集団の運営に不安げな様子を露わにしていた方もいらしたとか。ならば小劇場にアタックしてみたらどうだろうとアドバイス。当たって砕けろでうかがってみた学校最寄りの小劇場「王子小劇場」さんがとっても親身に相談に乗ってくれました。生徒たちもスタッフさんの心意気や会場の魅力にとりつかれ、予約していた公共ホールの予約を、会場費支払期限の直前になってキャンセルし、王子小劇場さんとともに自分たちの卒業公演を敢行することを決意しました。
 そんなこんなでスタッフさんとの親交も深まりました。
 おまけにスタッフさんのひとりと顧問が高校の同窓生であることも発覚!
 http://blog.livedoor.jp/ojiblog/archives/53685438.html
 そして今回の「上方落語会/紅都こ」に生徒ともどもお招きいただきました。卒業公演を行う3年次生は、落語会のお手伝いとして早くから劇場入りした様子。受付でもらったチラシ束の中には、3年次生が自筆で書いた「次回落語会のご案内」が挟み込まれていて驚きました。
 落語はたまたまおととい浅草の寄席に行ったばかりです。ほんとに久しぶりでしたが、立て続けに行っただけになんとなく(思いこみ・印象批評)ではありますが、違いのあることがよくわかります。この日の上方落語のお三方のほうは、まず、滑舌が早く捲し立てるようすで、咄家側のリズムやテンポを強く感じます。パワフル、エネルギッシュ。浅草の落語は観客のようすや客席とのやりとりをしながらたっぷりゆったり語っていたように感じました。遠征地ということもあるのでしょうが、上方お三方は少々緊張があったのかな。ただそのテンションがうまく働いてか、観客としてはとても楽しいひとときとなりました。
 トリを勤めた桂都んぼさんの当日の日記を見つけました。
 http://diary10.cgiboy.com/0/tonchan/index.cgi?y=2007&m=4#23
 また、桂紅雀さん、桂こごろうさんのお二人は翌日大阪で定例の落語会があったようすです。
 http://www.cmo.jp/users/benikogo/

 新入部員の一年次生7人全員がこの日は参加しました。「生」落語体験は初めてだった生徒がほとんどで、行く前にはもうちょっと堅苦しいところのような印象をもっていたという生徒もいましたが、その予想は大きく外れてしまったようです。ひところの緊張はほぐれ、終演のあとには満足げなたっぷりの笑みとともに帰路につきました。一方、顧問は…入部早々遅い時間まで新入生を連れ回し、保護者の方々から苦情が来ないかと内心ひやひやしています。

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浅草演芸ホール

 浅草演芸ホール、昼の部に演劇部の生徒とともに出かけました。
 以前、芸団協の講習会でご一緒した雷門花助さんが出演される番組を狙って、初日の昨日に行ってみました。花助さんとお会いするのは久しぶり。3年近くになるかとおもいますが、変わらずお元気そうでした。以前よりスリムになった感じです。高校生がいることを意識してくれてか、学校寄席の話題から入ってくれました。花助さんの顔の表情の変化がよかったですね~。そう思って見ていると、出てくる落語家さん、みんなみごとな千変万化。声色もさまざま。自分の研修にもなりました。
 講談は神田ひまわりさん。神田陽子さんの代演でしたが小気味よいお話ぶり。詳しくはないのですが、講談界はいま若手の女性講談師が増えているのでしょうか。代演はもうひとかた、江戸売り声の宮田章司さん。こんな芸の世界があることすら知りませんでした。聞いていてとても気持ちのよい、情緒たっぷりの売り声。お年だとはおもいますが、見事な売り声でした。こんな生声で売りに来られたら、買い物したくなっちゃいますね。寄席ならでは、観客との掛け合いもおもしろかったです。なにか聞きたいのはない?と宮田さんが聞くと、会場からさまざま声がかかります。風鈴売り、と声がかかったときには「風鈴売りはね、声を出さないんだよ」と。なるほど、風鈴はその鈴の音自体が売り声なんですね。
 古今亭寿輔さんも、存じ上げませんでしたが、破格でした。いやぁ。笑いましたねぇ。晴乃ピーチクさんが二科展に5年連続入選されるほどの腕前とは知りませんでした。似顔絵がまたとてもすばらしい。三笑亭可楽さん、お名前の通り辛口でユニークな語りでした。昼の部主任の雷門助六さん、落語はもとより「あやつり人形」が見事でした。ほんと、芸人だなぁ、というかんじで、うなりました。連れて行った生徒も、もっとみんなに見せたかったなぁととっても感動していました。
 部活動として初めての試みでしたが、また機会があれば行ってみたい企画でした。


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東京都美術館へ

 東京都美術館に出かけた。
 台東区の小学校の展覧会もやっていたらしく、遠足モードの小学生団体がぞろぞろ。最初、上野動物園に行くのかな、とおもっていたら、手前で曲がり都美術館へ。目的が一緒だったらどうしましょう、なぁんて考えていたら、館内に入ってからは、その台東区の展覧会へとむかっていた。自分の住んでいる区に、これだけの文化施設があるというのはうらやましい限りだ。
 さて、私の向かったのは「東京都公立学校美術展覧会」。勤務校の生徒の絵画、陶芸作品が展示されているとのこと、どんなものかとのぞいてみた。寄せ集めですよ、と美術の先生が言われていたが、それは謙遜なのだとすぐわかる。都の公立学校の生徒の作品が所狭しと並べられていて、もっとゆったりとした展示スペースがあるといいのに…と思いつつ、東京都の生徒数の多さを思うとなかなかそうも言っていられない。また、場所があればあったで、出せるかぎりのものを出品してしまうのかもしれない。各区市町村から選ばれて展示された作品はみななかなかのもので、ゆっくりみていると時間がどんどんと過ぎていってしまう。たとえとしては適切ではないかもしれないが、量販店「ドン・キホーテ」の陳列棚を思わせるような、見過ごしたところに宝の鉱脈があるのではないかと思わせられるような展示だった。
 勤務校の生徒たちの作品展示はみなおもしろかったが、陶芸の作品の中にとりわけ目をひくものがあった。釉薬がちがうのか、ガラス的な透明感とともに、軽く上品な質感があった。「竹取物語」という題名の作品で、竹に優美な質感があり、またその竹の中に電球が仕込まれていて、通電すると作品自体が幻想的な光りを帯びるようになるという。あいにく電気仕掛けは主催者からの指示でNGとなり、展覧会から作品が学校に戻ってきてからその風合いを楽しませてもらおうと思う。
 おまけとして、同じ東京都美術館の中で行われていた都立芸術高校の卒業制作展にふらりと寄った。油絵、日本画、彫刻とさまざまな作品がある。まるで門外漢なのでよしあしはわかりかねるが、デザイン展示は素人にも面白さは伝わってくる。立体と平面が一体となった作品とか、肖像デザインに、その人物のプロフィールを文字で上書きしていたものなどとても興味をひいた。
 おもしろい作品たちと、時間を忘れて過ごしていたら…あやうく自分の授業時間を吹っ飛ばしてしまうところだった。上野駅まで走り、ばたばたと電車に乗りこんだ。

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第17回全国高等学校総合文化祭

 第17回全国高等学校総合文化祭優秀校東京公演が、8月26日・27日の2日間、国立劇場の大劇場で行なわれた。
 今年は例年に比べ混雑が少なく、演劇の始まりの際にはあちこち空席も見られた。
 27日の日本音楽は都立狛江と和歌山県立桐蔭。ともに技法を駆使した現代音楽風の楽曲で、弦を強くはじいたり、なにやら細いバチのようなもので叩いたり、両腕全体を使って上半身で琴を抱え込むようにして音をカットオフしたりと、身体全部で箏と格闘しているような演奏だった。
 格闘と言えば、そのあとの伝統芸能部門で出てきた相模原高校の作品『陣』は、まさに戦闘に出陣するさまを太鼓で表現する楽曲だった。バチを持つ腕、身体がまるで舞を舞っているかのようにしなやかに動く。ほら貝、ドラ、鉦とも連携したアンサンブルが、ライブ演奏ならではの力強さで迫ってくる。
 富山の平高校、全国大会の常連校だ。常連、といえば今回熊本の牛深高校の出演はなかったが、平も牛深も、民謡で出演する生徒たちの表情がとても明るい。腹の底から湧いて出たような、そんな笑顔を見せてくれる。
太鼓で出演する生徒たちの笑顔は、曲がおわったとき。心地よい疲労感とともに、やりとげた思いが表されるのだろう。
 日本音楽、箏の生徒たちは終始真剣な表情だ。たまに曲がおわったときに気の抜けたような、恍惚の顔の生徒もいるが、箏の子たちの満面の笑みというのにはお目にかかったことがない。そういうスタイルなのだろう。
 演劇、27日の優秀校一つ目は、山梨県・甲府昭和高校の『全校ワックス』という創作劇。全校で一斉に床にワックスがけをする。たまたま一緒の組になった、仲良しもいれば普段話したことのない人もいる5人組。掃除の始まりから終わりまでの1時間という、現実の時間と舞台上の時間が等しく流れるつくりになっている。大道具はなく、ホリゾントのかわりに大黒1枚があるだけだ。小道具はほうきやちりとり、デッキブラシにバケツにぞうきん、とどこにでもある掃除道具たちである。何気ない日常のやりとり、その中に浮かぶ機微を切り取った作品だった。ただ、国立劇場の横長の広い舞台に立ったせいか、ややテンポにぼやけた感じが残った。終盤での、親の死を告白する件がなかったとしたら、締まりのないままに終わっていたかもしれない。その告白に対し、「そういうこと言うなよ」と返す答えがいい。そういう重たいことは、軽妙洒脱なやりとりを身上とする〈私たち〉には似合わない、受けとめきれないのだ。だが彼女は告白した。そして彼女達の関係性が変化していくか…深まっていくか、と思わせられたとき、「全校ワックス」の時間は終わる。洒脱なのだ。
 今年度の最優秀上演となった、同志社高校『ひととせ』。作者でもある奥田菜津さんの一人芝居である。飽きさせない。笑いのツボも押さえている。春から夏、秋、冬と「ひととせ」を描き、新しい春の訪れを感じさせて、おわる。なんといってもセンスがいい。いま、この時にしか見られない、彼女にしか演じられない、かけがえのないきらめくひとときに立ち会えた喜びを感じた。間の取り方など絶妙で、マイムも洗練され、昨年夏の地区大会から「ひととせ」かけて演技も研かれてきたのだろう。北島マヤに彼女をたとえる人もいたが、この才能がさらに花開くと、いいなぁ。
 一人芝居でありながら、まわりとの温かいつながりも感じさせられた。カメラ嫌いでありながら、人なつこいはにかんだ笑顔がすてきな音響オペレーターさん。まるでほんとうのお姉さんのようにほんわかと奥田を包み込む顧問の加藤先生。まわりの人たちとのこのあたたかいつながりが、作品をここまで高めさせることができたのだろう。
 彼女の創作ならではの思いを詰め込んだ作品ではあったが、既成の良質な脚本で、実力ある役者とのぶつかり合いも見てみたいな、と欲張りな気持ちも起きてくる。今後彼女がどんな道を歩んでいくかはわからないが、このときのきらめきを生涯忘れないでいてほしい、とそんな祈りにも似た気持ちも感じながら国立劇場をあとにした。

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