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創芸『群青、夏へんろ』

教師の劇団創芸第63回公演
『群青、夏へんろ』

構成・演出/小野川洲雄
演奏(バイオリン・ビオラ)/中山洋
出演/春日陽子、八巻則子、十河慶子、川松泰美、瀧石ゆき子、春口明朗、岡部優典、髙橋道子、千代原徳昭、小俣由美子、萩坂心一、政井卓実、松田祐慈郎、内山千栄、石田智子、野中道弘、神志名潔、永谷研一、八島輝京
会場/俳優座劇場(六本木)


書き言葉を話すこと、語ることの難しさを感じさせられました。

学徒出陣の「わだつみのこえ」。朗読されることばたちが、<意味を示す記号>としてだけ耳に聞こえてきます。学校名、姓名といった固有名詞を語っているのに、それらの語が一般名詞のように聞こえてきます。だからどこか、遠い世界の、(恐ろしいことに)「自分とは違う世界」の<物語>として聞こえてきてしまいます。
演出の小野川さんは公演パンフレットの中で、若い世代の人とのやりとりのなかで衝撃を受けたとしてこんなことを書いています。
「以前、稽古場を見学に来た二十代の大学生たちに、手記の朗読場面について『何のことかわかる?』と尋ねると、『どういう世界のことか、全くわかりません』という答えが返ってきました。ある程度予測はしていましたが、かなり愕然としました」。
だからこそ語り継がなければ、伝え続けなければ、と小野川さんは述べています。けれど、すでに「若い世代」ではないだろう歳になってしまった私にしても、どこかこう、宙に漂うものとして戦没学徒たちの言葉が聞こえてきてしまいます。一つには、率直に言って、役者の力量というものはあるでしょう。でも、それだけではない、なにかしらの違和感をおぼえます。

敗戦記念日、北京オリンピックの特集がテレビを賑わせる中、NHK特集でレイテ島の戦いについての番組を見ました。体験を語られる方がだんだんと少なくなられている中、当時大隊長をされていた方、輜重(しちょう)兵だった方、士官付きだった方、それからフィリピン現地の方、アメリカの元兵士の方…と、さまざまな立場の方々の証言によって作られた番組は圧巻でした。胸に迫るものがありました。だから決して、戦争体験を語ること、聞くことのもつ力が衰えているわけではないと思います。その、伝え方、受けとめ方なのではないかと…。
書き言葉の音声化に違和感を感じる一方で、「わだつみのこえ」の前後にしつらえられたお遍路さんの<劇>では響いてくる言葉がたくさんありました。
「死者の記憶が遠ざかるとき、同じ速度で、死は私たちに近づく。―もうここに並んだ死者たちを、覚えている人は少ない」

後半、役所の元戸籍係の老人が、過去を振り返って語る言葉が迫ってきました。…小学生の少女に、彼女の父の戦死を伝えなければならない苦悩…これは、レイテ戦を語った元兵士たちが語るのと苦悩と同じものが舞台に現われていたと感じます。
「朗読」を聞いて受けた違和感は、一つには、死者の言葉というノンフィクションを、演劇というフィクションの舞台にのせる難しさから受けたものと言ったらよいでしょうか。死者の言葉は、固着されています。死者はまた、「英霊」となり、「神」となっています。「神」の言葉は、揺るがしがたいものでもあります…。
演劇は死者との対話である、と言ったのは安田雅弘さんでしたか、その言葉を時々思い出します。

「平和」とされる現在に対する動執生疑。平和の意味を真に問い直すきっかけを与えられた時間でありました。

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コメント

 ビデオ撮影、ありがとうございました。さらに、的確なコメント、感謝です。劇団内では、今回の舞台は達成感があっただけに、冷静に反省するいい機会になります。朗読というハードル、戦没学徒の手記というハードル、そして役者の技量、課題が明らかになりました。
 劇団の内外で再演の声も上がっておりますが、浮かれることなく、次の一歩を踏み出さねばなりませんね。また、何らかの形で平林さんの参加を待ち望んでいます。今後ともよろしくお願いします。

投稿: 萩坂 | 2008年8月23日 (土) 09時18分

はじめまして。

現在、専門学校2年生の息子が文京区立第五中学校で小野川洲雄校長先生にお世話になりました。歓送迎会では先生のご指導の下、寸劇を友達といたしました。

劇もそのころ拝見しました。

先生の劇を拝見したく、検索してみましたが、劇団のホームページは連絡先がなく、こちらで、ご紹介なさっていらしたので、もし、ご存知でしたら、教えていただけませんでしょうか?


投稿: 下平 沙千代 | 2009年7月11日 (土) 21時02分

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