« プチ同期会 | トップページ | 文化祭まで、あと一週間 »

劇団Ya-taro 旗揚げ公演 「Reconquista」

劇団Ya-taro 旗揚げ公演 「Reconquista」

作:平和堂ミラノ 演出:山崎如野
王子・pit 北/区域 19時40分開演(終演21時00分)
出演:荘子侑加、熊木りさ、柳田絵里、山崎如野、川上幸奈、土屋佳奈子、中西樹、米山なつ海、荒木祐次
音響:有川奏子、太田茉莉瑛 照明:種村友佑、久保香織、北川彩

「八太郎」から「Ya-taro」へ。とてもセンスのいい制作集団になりましたね。

初めて入ったpit 北/区域、いまや伝説の劇場となった渋谷・ジャンジャンを思い出させるような空間でした。バックステージの奥深くに潜り込むかのような客席への通路は、迷路に入り込んだようなわくわく感を引き起こしました。

おもっていたよりも広い客席。席に座って2階まで吹き抜けの舞台を見上げると、先ほど入ってきた受付ロビーが見通せます。舞台上にはモノトーンの布が天井高くからつり下げられ、エリック・サティを思わせるピアノの客入れ音楽が、ちょっとおしゃれな空間造形を醸し出します。ひとときはやったカフェバーのような雰囲気です。舞台美術の担当者名はパンフレットにはありませんでしたが、これらは照明の種村くんのプランでしょうか。明かりは生をベースにところどころ入る色がモノトーンの舞台に映えて、知的な印象を与えます。パーライトの明かりも効果的。さすが、専門家への道を着々と歩んでいますね。音響についても、客入れ音楽もそうでしたが、劇中の選曲に趣味のよさ、演出とばっちり波長のあったチームワークを感じました。

さて、演目の「Reconquista」、初めて私がこの作品に触れたのは2年前の春のこと。当時は、なんでみんなはそんなにこの作品が好きなんだろう…?と、つかみきれないところも正直ありました。20歳前後となったみんながまたあらためてこの作品と向かい合う姿を見て、その理由が少しわかってきたような気がします。

子どもから大人へ、少女から女へ、移ろいゆく〈成長〉の時間。少女のままでいるためには、大人になる前に〈成長〉することを自ら止めなければなりません。開幕と終幕に、「私たちは同志」という言葉が象徴的に繰り返されます。秘密を共有する「私たち」であることが少女であることの証です。自分だけの秘密を持ってしまうことが、少女から女へと変わる徴(しるし)となるのでしょう。共有できない秘密を持ったにもかかわらず、少女のままであろうとするからには、移ろいゆく時間を止めてしまうこと、時間をその場で定着させてしまうこと=死を選ぶことしかありません。視点を変えて見てみると、この作品は生きていくことの残酷さを描いたものであると言えるかもしれません。

大人になってしまってからは決して戻ることのできない少女の時間。自分だけの秘密を持つ前の、少女のころへのノスタルジアが、この作品がみんなを惹き付ける、大きな魅力の一つであるとも言えるでしょう。

演出の意図する世界観も今回は感じさせられました。自分の場合…、演出より演技指導についついなってしまうなぁ、と自らを省みるきっかけともなりました。そういう観点からすると、演出の如野さんのねらいが上演からよく伝わってきました。全体を俯瞰的にとらえる目。そんな視点や、作品から受け取ったものを生かしていこうとする感性を、上演全体を通して感じとりました。

役者さんたち、初めて見る方もいらっしゃいましたが、みんなますます上手になりました。ただ、上手になると、うまくなると、かえって学園生のリアリティを出すのが難しくなる…。劇中劇で語られる、近所の奥様たちのやりとりの方が、聖ドミニコ学園の中学生たちよりもリアリティを持ってしまうかもしれない、そのギリギリのところにみんなはいまいるのかもしれないな…と、この作品の〈適齢期〉についても考えさせられました。

また、すぐ目の前で演じられる小劇場という空間をもっと意識した発語があるともっと変わったかな、とおもいます。空間を意識した演技スペースのとり方や、ダンス、マイムなどの作りは見事でした。ただ、発声は中劇場のものだったかな、と。上演の最初のうち、みなとてもよく響く声がこぢんまりとした空間に反響するのに慣れるまでちょっぴり違和感を感じました。

全体としては、とってもすばらしい、上品なセンスを感じさせる上演でした。するとこの先の課題として大きくなってくるのは、〈制作〉です。本気でやるのなら、もっと売り出せる実力があることは今回で証明されました。さてそこで、どんな方針でこれから進めていくのか。集団の方向性を決めることが、とても重要になってくるでしょう。

作品の訴える琴線、それに触れていままで何度も先輩たちから受け継がれるように繰り返し上演されてきた「Reconqusita」。今年入った一年生も今回はたくさん見に来ました。もしかすると伝統を引き継ぐ形で再び上演されるようなこともあるかもしれないな、そんなことをおもいながら、劇場をあとにしました。

ところで…劇中の主要登場人物、「そのこ」さんって、パンフレットを見ると、「苑子」さんなんですね。そうかぁ。

|

« プチ同期会 | トップページ | 文化祭まで、あと一週間 »

「演劇」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/131518/16313057

この記事へのトラックバック一覧です: 劇団Ya-taro 旗揚げ公演 「Reconquista」:

« プチ同期会 | トップページ | 文化祭まで、あと一週間 »